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コンテンツを消費するねこ

ダンケルク

ダンケルクは戦争映画ではないかった,強いて言うならばダンケルクは楽曲であった.

クリストファー・ノーランの最新作と聞き楽しみにしていたが周りの反応はよくわからなかったという感想が散見され,
知識が必要な小難しい映画なのかな?という不安な気持ちを抱いたまま鑑賞しに行ったが,全くの杞憂であった.

そしてこの作品は知識ではなく,感覚に訴えかけてくる映画であった.
そして物語性は映画の外にある.

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ダンケルクでは陸(防波堤),海,空の3つのシーンで構成されており,
陸は1週間,海は一日,空は一時間(戦闘中?)で起こった出来事が106分にまとめて作られている.

最初は戦争映画をクリストファー・ノーランお馴染みの時間軸をバラバラにすることで新たな見方を提供するのかと思っていたが,
音響,音響効果,映像が圧倒的すぎて,構成の凄さを頭の中から吹き飛ばしてしまった.

バラバラの構成も緊迫感を長くする効果としては意味深いものではあったが,
特に良かった点は時計の針の音だったように思える.

冒頭の銃声から始まり永遠に流れ続ける針の音,
ノーラン曰く緊張感の高まるサードアクトを冒頭からやりたかったそうでその試みは成功していたと感じた.
緊張が続きすぎるのは観客が参ってしまうから106分の尺にしたそう(ノーラン談)

このカチカチ音の効果は素晴しくできており,
ずっとなっているのにも関わらず緊張が高まってくるシーンでは意識の上に登ってくる.
そして針の音が止まるシーンで感じる,解放された...という感覚はあまり味わったことのない映画体験であった.

そして音響は銃声,爆発音,飛行機のエンジン音,どれも堪らなくよく出来ていた.
多分なんですが,微妙だったといってる人は音響が良くない映画館で見たのではないでしょうか.
IMAX良かったのでオススメです.
銃声の音なんか苦情が出るんじゃないかっていう音声で毎回なる度にビクッとしました.
この緊迫感が良いんですよ
感想の冒頭でも書きましたが,音楽ですよこの作品は.106分聞けます.
普通のCDには焼けませんね残念.


内容に関しては喋らない,見せないことをすることによって恐怖感を作り出していて,これもあまり例を見ない手法でした.

ダンケルクは1940年のイギリス,フランス対ドイツの戦いなので敵国ドイツの視点も戦争映画なら描かれがちだが,それをしない.
この映画はドイツ側の視点は一切ない(ドイツ軍自体は出てくるが,少ないカットでしかも小さい)
そして,史実に出てくる人をモデルにしているわけでもなく,会話も異常に少ない(本当の戦場ならおそらく会話は必要最低限しかしないであろうが)
まあここはヒューマンドラマだったりの要素を除外したかったのだろう.

そして空以外の戦いはほとんどしていない(攻撃していたが命中したかどうかも不明)そのため空軍無双となっておりそこが少しの不満点か.

物語性はイギリスで語られているダンケルクスピリットにあるとのこと.詳しくはパンフ見てください.

てっきりクリストファー・ノーランってSF大好きマンかと思っていたのでこの作品をみて,見方,魅せ方の求道者なんだなあと感じました.ほんと天才.

またメメント見直そうかなぁ...
あともう一回IMAX見に行きます.でまた号泣すると.

効果音で泣く人自分以外で会ったことないんだよぁ...どっかにいないですかね

パンフは買った方がいいです.補完できるしレビューも面白かったです.

ダンケルク愛で一年くらいぶりの更新でした.

読んでいただきありがとうございました.